外国人が日本での初マタ日記<妊娠初期編⑧>ーマタニティマークは付ける必要があるのか?—私の体験談

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マタニティマークは付ける必要があるか?—私の体験談

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前回のお話はこちら↓
www.akaneforeignlife.com

マタニティマークをくれるのは日本だけ?

 アジアだと台湾と韓国で発行されていると言われていますが、私の出身地中国にはないので、私にとって日本のマタニティマーク制度はとても素晴らしいと思います。
 そもそも何となくしか分からないこのマタニティマークについて、厚生労働省から下記のように説明されています。

マタニティマークとは、妊産婦が交通機関等を利用する際に身につけ、周囲が妊産婦への配慮を示しやすくするもの。”
”さらに、交通機関、職場、飲食店、その他の公共機関等が、その取組や呼びかけ文を付してポスターなどとして掲示し、妊産婦にやさしい環境づくりを推進するもの。

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どんな理由でマタニティマークを付けているのか?

区役所で母子手帳を受け取ってから普段使っているバッグにつけっぱなしで、毎日携帯しています。

ーずるいじゃん、やっぱリ電車に乗る時に、席を狙ってるでしょう?

完全否定はできませんが(笑)、他にも理由があります。

幸運に恵まれてつわりがほぼない私は別に誰か席を譲ってくれるのを狙って付けているわけでもなく、ただ未だ胎盤が安定ていない妊娠初期の流産率が最も高いと言われている割に、外見上で妊婦さんだと分かりにくいので、回りにここに妊婦がいることを分かってもらいたい。
風疹の抗体がないと血液検査で分かった私は、本当はできる限り人ごみを避けるべきだとかかりつけ医に言われましたが、会社勤めをしているので、朝晩のラッシュタイムをどうしても回避できない。

そうなると人ごみの中に行き来せざるを得ない。

マタニティマークに託している期待は三つ
・自分が妊婦だとアピールするため
・交通機関をはじめ、公共の場で周囲にサポートしてもらうため
・緊急時に自分が妊婦だとすぐ知らせるため

・忙しい出勤時間帯に、駅構内で急いでいる方が結構多いです。
マタニティマークを付けると、駅内で疾走している方に注意を払ってもらえるかなと自己満足にすぎないかもしれませんが、多少ハラハラの気持ちが落ち着きます。

・ホームに上がる際に、エスカレーターの左側に立とうとしたら列の終わりが見えないくらい大勢の人が立っていて、こんなに手間がかかるなら、右側から歩いて上がったほうがましだと時間節約のため、右側から上がることにしています。
しかし、いくら元気でもお腹に赤ちゃんがいることを心掛けて行動してみると、皆のように速足で階段を上ることが難しい。
こういう時、こいつ遅いなぁと後ろでイライラしている人にマタニティマークを通して私が妊婦であることを伝えれば、相手も妊婦だから許してあげようとイライラから寛容な心になって接してくれるでしょう。

・私が貧血気味で、朝ごはん抜きで電車に乗ったら偶にひどい眩暈に襲われ、目の前に真っ暗になるとかなり危ない展開になったりもします。妊娠前に我慢したり途中下車してホームにあるベンチで休憩したりしていましたが、妊娠している今はもしかしたらさらにひどくなるかもしれません。マタニティマークを付けていたら、このような予測ができないことが起こってしまったら回りの方々に妊婦だと認識して貰えて、最速で適切な措置を講じてくれるでしょう。

・空いていればそれほど気になりませんが、明らかに乗っている乗客人数は車両のキャッパをはるかに超えた鮨詰め状態の際に誰か席を譲ってくれれば助かるなーという社会の温かみに期待を抱えている思いもあります。

実際に期待をしている効果があったのか?

・妊娠してからサプリを飲み始めて食事バランスや栄養の摂取生活習慣の改善等いろいろ気を付けるようになって、貧血を起こして電車の中で目の前に真っ暗になるほどのひどい眩暈が一回も起こっていません。救済が必要とされる「事件」がないので、マタニティマークは付ける意味があるか分かりません。
*恐ろしい不測の事態がないに越したことがないので、今後も起こらないように祈ります。
マタニティマーク実際の効果:測定不能
心理的な効果:★★☆☆

・朝出勤ラッシュに急いでいる方は相変わらず構内で小走りしています。しかし、今まで後ろから来た人に肩をぶつけられたり、身体のそばにギリギリ擦って通られたりする人がいなくなりました。

そもそもバッグに付けているあの小さいマタニティマークは気付いている人は絶対いないでしょう。
確かにマタニティマークってしょせんキーホルダーのようなもんですから、駅構内速いスピードで行き来する人が普通気付きませんね。
ぶつけられなくなった理由はただ自分が無意識に急いでいる方と距離を置く、自分から危険探知、危険回避をするようになっただけの話かもしれません。
マタニティマーク実際の効果:測定不能
心理的な効果:★☆☆☆

・エスカレーターの右側にゆっくり階段を昇っていく

 混んでいる時にもゆっくりと階段を歩く
 お年寄りさんや体が不自由な方と一緒にエレベーターに乗る
 こういった時に、後ろの方から圧迫感を感じることが無くなり、後ろの方から上がってくる方は私を迂回して進むようにしてくれています。
 エレベーターに乗る際にも若いのにエレベータ―を使うの?という非難されるような眼差しを感じなくなりました。
 これもまた他人からマタニティマークを付けている私に接する態度がガラッと変わった事実より、マタニティマークを付けることで私自分自身の感じ方は変わっただけの可能性も大きいです。
マタニティマーク実際の効果:測定不能
心理的効果:★★☆☆

・ぎゅうぎゅう詰めの電車に揺らされている時に、誰か心が優しい方に席を譲ってほしいという期待は確実に実現しています。

 一日の仕事を終え、誰しも席に座ってゆっくり帰りたい気持ちをとても分かります。
中国にいた時にも長く乗らなければならない場合に、席に座れればずっとそのままのんびりとどんどん流れていく車窓の風景を眺めていきたい訳です。プチ旅行気分でバスタイムを楽しんでいるその時、お年寄りさんかお腹が大きな妊婦さんが乗ってきたら、なんで乗って来るんだよとがっかりしても必要のある方に席を譲りましょうという社会責任感に駆られて、嫌でも席を譲っていた記憶があります。
できればこのような本心とは裏腹の行動をせざるを得ないという方が生まれないように、電車に乗る際に普通の席の前に立たないようにしています。

妊娠して普段あんまり踏み入らない優先席の前に立つと、サラリーマンの方や若いOLさんに占領されていることが多いと気付きます。
本を読んだり携帯を弄ったりしている人は7,8割で、残りは寝っている。何かしらのことに気を取られて私が気付いていませんよアピールをしている人はほとんどです。
優先席に平気に座ってる若い人が冷たいというかそもそも周りに無関心かもしれません。
マタニティマークを付けて電車に乗ってから若い人か中年のサラリーマンに席を譲ってもらったことが一度もありません。

ネットの書き込みで他の妊婦さんの体験談を見ると、

妊娠がなんだ。席を代われって事?と突然言われた。
優先席前に立ったら舌打ちされた。
白い目でじろじろ見られた。

と妊婦に対する世間の風当たりの冷たさと肩身の狭さを感じることが多いように捉えます。

私はそれらよりなぜ一般的に人を思いやる、マナーをしっかり守ると思われる日本人は電車と関わるとイメージがそんなにも変わるかととても不思議に思います。電車に乗ろうとして他の人に全力押し込む人、自分が携帯を弄るスペースを確保するため、他人を肘で突き出す人、平気に優先席を占領している若い人…
自分の利益に関わるとさすが日本人もやはり本気なんだ。

それでも、席を譲って下さった優しい方々がいます。
しかし、譲って下さった方々はもれなく年齢が高めの方ばかりです。

ある日、優先席の前に立ってすぐ目の前に座っていた杖を持っているおじいちゃんが私のカバンにぶら下げているマタニティマークに気付いてくれて、電車がとても混んでいるにもかかわらず立ち上がって席を空けてくれました。おじいちゃん自身も杖を持っていて不便そうですので、「大丈夫です。そんなに乗らないんで…」と言ったら、「座ってくれ」と強く言われて申し訳なく座った経験がありました。

また、別の日に荷物多そうなおばあちゃんが私に気付いて、自分の荷物を全部持ち上げて「どうぞ、座って❣」と声をかけてくれました。
しかも、このおばあちゃんと後日も同じ車両に乗り合わせてまた同じように席を譲られました。

優先席はもともとお年寄りさんが座るべき席なのに、私が乗ってきたせいで彼らが座れなくなってしまうから悪いねとばかり思って、お年寄りさんの前に立ったらわざとマタニティマークを隠そうとするようにしました。なぜかまた別の日、電車に乗る時に、斜めに座っている一人のおばちゃんにずっと見られていて、やばい、とうとう来たか?マタニティマークは危険を招くやつか?】と恐怖を覚えてぞわぞわし始めたところ、おばちゃんが立ち上がって私に向かって「気付いてなくてごめんね」とやはり席を譲ってくれました。
私が隠そうとしているマークを一生懸命観察していたんだなぁと心でとても申し訳なく思いました。

マタニティマークをあえて隠そうとしても気付いた年配の方は席を譲ってくれると電車でこのふとした瞬間に感じた人の温かみにとても感動しました。それと同時に申し訳ないという罪悪感も湧きあがって来ました。

若い方だったら単純にありがとうというハッピーな気持ちで座れますのにと少しがっかりした部分もあります。
マタニティマーク実際の効果:★★★☆
心理的な効果:★★☆☆

終わりに

マタニティマークを付けて周りからの接し方に変化があったか正直よく分かりませんが、自分自身の感じ方に確実に変わりました。
マタニティマークに託されたその三つの意味「自分が妊婦だとアピールするため」、「周囲にサポートしてもらうため」、「緊急時に自分が妊婦だとすぐ知らせるため」に関して自分の体験からすべて検証できませんでしたが、ある意味でちゃんと働かけてくれていると信じています。
しかし、残念なことは優先席を占領している若い方から一回も席を譲ってもらったことがなく、代わりに優先席に座るべきのお年寄りさんに沢山譲っていただきました。
恥ずかしがり屋の日本人にとって席を譲ること自体は少しハードルが高いかもしれません。

現実から見ると、厚生労働省が掲げる「妊産婦にやさしい環境づくり」という目的を実現するまでの道のりはまだまだ長そうです。