NTとは?出生前診断を受けるべきか?
中国にいる妹からNTというフレーズを初めて聞いた。
赤ちゃんが順調に育っています。
前回のお話はこちら↓
www.akaneforeignlife.com
中国にいる両親にも報告して元々子供を持つのが遅かったこともあって、年内お孫さんの顔を見れるのがとても喜んでいます。
体調はどうか、栄養のあるものをちゃんと食べているのか、妊娠中の注意事項を確り守ってるのかと問い詰められた後、妹からこの週数だと中国でこんな検査するよとウィーチャットを通してネットで調べた13週~16週にかけて妊婦検診の項目を送って来ました。
一番最初に書いてあるのは「唐氏筛查」。これはお腹の赤ちゃんがダウ症である可能性を調べる検査です。
これって受診票に書かれていない項目だし、先生から受けてくださいとかなんのアドバイスもなかったけど。
お姉ちゃん、お医者さんから子供のNT値を聞いてる?
NT値、初耳だね。今まで超音波検査と採血くらいだね
中国で13週以内でNT測定を行うけどね、次回妊婦健診に行った時に先生に聞いてみて!
簡単に言うと、うなじの当たり付近の皮膚が浮き上がって膨らんだ形に見えるものです。首の下にあるむくみのことです。主として胎児染色体異常の検出を目的とした出生前診断の一つですが、胎児異常の確定診断はできません。
11週の健診に行った時に、確かに先生から何一つも触れていなかった気がします。
次回行った時に絶対に聞いてみよう!
13週の妊婦健診&13週目の赤ちゃんのエコー写真
13週目の健診の当日。
赤ちゃんの成長は本当に驚くほど速いですね~
前回11週目でCRL(頭からお尻までの大きさ)は4センチほどだった赤ちゃんは今回一気に4センチアップして8センチになりました。
6週以来一緒に健診に来れなかった旦那がびっくりしたようです。
「大きいね」とカーテン越しで旦那の呆れた声が聞こえました。
羊水の中で横になってとてものんびりしている様子が超音波画像に映っています。
小さい手を顔の上に上がって何か掴もうとしているかのように。こんな小さい手でも五本の指がはっきり見えます。
先生がプローブを動かして角度を変えた時に赤ちゃんが驚いたように一瞬にして体全身を跳ね上がりました。
目も鼻も手も足も人間に備えるパーツはもう完備していて、超音波を通して見た赤ちゃんはもう生まれたての赤ちゃんと同じように見えました。
赤ちゃんの可愛さにすっかり気を取られて、妹に言われたNTのことを聞きそびれそうでした。
すみません、NT値はどのくらいですか?
あまり妊婦さんに聞かれない質問なのか?一瞬の沈黙を経て、先生が超音波画像に戻って、赤ちゃんの首下あたりを指して
NTは首下にあるむくみのこと、見てここにないもん。NTの厚み測定はここの超音波はできない。
とりあえず超音波検査が終了。
NTは一体何?赤ちゃんにどうな影響を与えるか?
一旦、内診室に戻っていつも通り先生の説明を受けることに。
そして、先生が出生前診断という文字が書いてあるパンフレットをわたしと旦那に見せながら説明し始めました。
NTがない赤ちゃんが必ずしも健常だと断定できないし、NTは正常な胎児にも認められますので、逆にNTがあるから異常があるという判断もできない。
ただ、NTが厚くなると、胎児に染色体の異常特に21トリソミーの危険性が高くなると言われています。
言い換えると、NTが厚いと確認された赤ちゃんはダウ症の確率が高い。
年齢の高めの妊婦さんや家族にダウ症を出産した経験がある場合にこの発生頻度が高くなるとも言われてます。
家族にダウ症候群の方がいますか?
家族にダウ症候群がいないですね。
今年何歳ですか?
27歳です。旦那も同い年です。やはり私たちのような20代はダウ症の赤ちゃんが生まれる確率が低いですよね?
出生前診断を受ける必要がありますか?
若い夫婦でも染色体異常を持つ赤ちゃんが生まれますし、高齢であれば必ずしも病気の赤ちゃんが生まれることはないし、あくまで確率の話です。心配だったら受けてもいいし。最初はNIPT(新型出生前診断)か母体血清マーカー検査どちらを受けた結果からさらに絨毛検査か羊水検査を受けるかどうかを判断します。
www.genetech.co.jp
……先生の話に新しい情報が詰め込み過ぎて二人とも言葉が出ませんでした。
まぁ、今13週で15週まで検査を受けるかどうか決めてください。
妊娠15~27週におけるダウ症候群・18トリソミーの赤ちゃんを妊娠している年齢固有確率
先生が年齢によって染色体異常を持つ胎児の確率表をくれました。↓
930/1か?このくらいだと出生前診断を受けることをお勧めですか?若い方が受ける人が多いですか?
人によりますね。何とも言えません。心配なら受けてもいいし。
なぜか先生が我々の質問を避けているように本人次第という言葉ばかり繰り返してはっきりとしたアドバイスをしてくれません。
とりあえず、頂いた出生前診断に関するパンフレットとあの確率表を受け取って家に帰ってゆっくり考えることに。
出生前診断に対して日本と中国の態度が違う
妹が調べてくれたように、中国では出生前診断(NT測定やダウ症の確率検査)は必須項目ではないですが、ほとんどの妊婦が受けています。推奨している病院も多いです。
ネットで妊婦検査の内容を調べれば必ずこの「ダウ症確率検査」を書いてあります。
中国が多大な人口を抱えています。「优生优育」(優良の遺伝素質を持つ子供を産み、良い環境で子供を育てる)の考えが強いです。
一人っ子政策を廃止したものの、未だ子供は好きなように生んでいいという自由な環境に恵まれた訳ではないので、ほとんどの中国人妊婦は生まれてくる赤ちゃんのことについてとことん検査を受け、早めに決断を下すようにしています。
しかし、日本の場合に今回のように自分から聞き出さなければ多分NTとか出生前診断の話が全く出ていなかったでしょう。
NTに関して一般の妊婦さんすべてに実施すべき検査としてみなされていない。むしろ、超音波専門医レベルの判断手法情報としてハイレベル検査として位置づけられているようです。
実際に普通の超音波検査でNTを見つかっている先生もいます。
ネットの書き込みでも先生にNTが何ミリがあると言われて検査を受けるべきかとアドバイスを求めている妊婦さんもいれば、
NT6,7ミリですぐに羊水検査をうけるように言われて結果ダウ症だと知り、苦しんでいる妊婦さんもいます。
論理的な問題が大きいかもしれませんが、普通の超音波でNTが見つからなかったとしてもダウ症である可能性がなくはないのに、ほとんどの妊婦は出生前診断の話は自分から言い出さない限り、先生が触れません。
出生前診断の賛否
受ける賛成派
・命という神聖なる領域ではあるが、生まれてくる子供やパートナーや自分自身の今後の人生を考えればやはり受けたほうが良い。
・生まれつきでハンディキャップを背負う子供が生まれてきたら幸せになるかと考えるとやはり受けたい。
・日本の社会情勢で障害を抱えた子供をケアし、温かく見守る余裕はないと思うし、障害のある子を残して自分が先に逝くことはその子が不憫でならない。
受ける反対派
・自分のところに来てくれる子供、どんな子供であっても育てたい。
・我々は命の選別をする権利があるのか?
私は結局母体血清マーカー検査を受けることにしました。やはり生まれてくる子供がもしダウ症だったら、その子の人生をずっと背負っていけるか、その子をずっと愛せるか、障害者に対してかなり冷たいこの世の中で自分の子供を変な目で見られると精神的に壊れずに耐えられるか、その子を一生世話するのに自分の人生をかける覚悟があるか、すべて自信がないです。
終わりに
ドラマ「コウノドリ」をずっと見ていました。
第10話に鴻鳥先生のセリフに感銘を受けました。
【命の選別】その言葉にみんながとらわれてしまっている。お母さん、お父さん、家族の事情に目が向けられていない。
それぞれの事情の上に命が生まれてくる。育てていく家族。
検査を受ける、受けない、赤ちゃんを産む人、そうでない人、どの選択も間違っていない。
人生に正解のないことが沢山あります。本当にお医者さんの言う通り、受ける、受けない、どんな選択するのが自分次第です。