中国独身の日「双11」(ダブルイレブン)はただのアリババが作り出したプロモーション戦略じゃない。【光棍節の由来】

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中国独身の日「双11」(ダブルイレブン)はただのアリババが作り出したプロモーション戦略じゃない。【光棍節の由来】

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https://tech.sina.com.cn/i/2018-11-11/doc-ihmutuea8986571.shtml
 雨が降ると、どこかに置き忘れた傘の存在を思い出す。その「どこか」をなかなか思い出せないので、毎回新しい傘を買う羽目になってしまう。こんな時に、やはり自分はドジだなと忘れそうな自分の本性を気付かされる。
 しかし、この忘れっぽい私は、あの日を絶対に覚えているし、大体2週間前からあの日の到来を待ち望んでいる。
 勿論、今年も約束通りにあの日がやってくる。
 
 ここまで読んで「あの日」ってなに?
 大切な人の誕生日?それともなにか重要な記念日?
 どっちにも当たらないが、中国人の我々にとって「新興行事」のような大きなイベントになっている。
  
 「あの日」は11月11日(ダブルイレブン)です。

 

11月11日は何の日?

 一年を通して数字の”1”は四つも並ばれる日付は11月11日しかない。
 中国では独身の日と呼ばれている。正確に言えば「光棍节(guang gun jie)」になります。
「光棍儿」とは、独身男性のこと。「光」は何もないという意味があり、「棍」は棒の意味です。寄り添うもの一つもないただの棒はまさに「1」という数字そのもの、「1」が四つも並べば、独身の寂しさは極めて表現してくれているようです。
 11月11日は、日本では商業目的の「ポッキー&プリッツの日」と違って、中国では若者の訴求、自虐、遊び心が詰め込まれている日です。
  

「光棍节」(11月11日)はいつから?

「光棍节」の由来は1993年に遡ります。当時、「南京大学」のとある宿舎に暮らしている独身男性四名の雑談から生まれた。
ここで少し中国事情を取り入れますが、中国の大学宿舎は4人部屋か6人部屋(多い場合に、8人部屋10人部屋もあり得る)が一般的です。日本のシェアハウスのように、共通スペースがあって、個人の寝室をちゃんと確保されるのではなく、ワンルームに人数分の二段ベッドを置かれて、トイレに行く頻度もイビキの特徴も寝言もすべて人と共有しなければならないプライバシー無しの集団生活です。

 プライバシー無しだからこそ、新しいアイディアが浮かび上がったらすぐに誰かとシェアして広げていけるかもしれない。
 というわけで、彼らが考え出したこの「光棍节」はすぐさまに全国のキャンパス文化になり、当時の学生が卒業するにつれ、「光棍节」は社会全般に浸透してきた。さらに、メディアによる加勢もあって、「光棍节」は男女問わず全国の祭日として定着された。
 

なぜこんなにも盛大に祝うことになったか?

 人口大国の中国に生まれて、裕福な家庭、「有能な」親(華麗なる将来の道を敷いてくれる)、強固なコネがない限り、同年代の人を勝ち抜くため、人一倍の努力しなければならない。自分の運命を変えるのは着実に勉強して良い成績を獲得するしか他がない。恋愛と無縁で勉強一色の小中高生活を送るのが普通。大学入試試験を終えて無事に大学生になってから、恋愛禁止令をやっと解除してもらえる。それどころか今まで恋愛は御法度と頑なに説教していた親だったが、いきなり手のひらを返したような態度に変わって、「早く恋人を作って!」と猛烈に煽り立ててくる。
 毎日勉強漬けの地獄から解放される解放感と親からいきなりの恋愛促進令に促されている訳だが、18年間勉強しかしてこなかった人に簡単に彼女彼氏ができる訳がない。こうして彼女彼氏が欲しいが、できない人達が何か別のことで自分たちを慰めよう、気を紛らわそうと若者の間に共鳴を呼んだ。
 ネット世代に生まれたこの若者たちを支援するため、中国のEコマース大手のアリババがプラットフォームTAOBAOにお祝いで買い物しようと「ダブルイレブン」(双11)キャンペンを仕掛けた。その後、同社の「天猫(Tmall)」、さらにライバルである「京東(JD.com)」や「Amazon」など、多様なEC業者もこの「ダブルイレブンキャンペン」に盛り上がり役として参入した。
 今は独身だけではなく、国民が安く買い物できる「新興行事」になっている。

例年の盛況

 アリババのキャンペン元年から例年の売り上げを見てみよう。
 2009年、初年度は5000万元(8億円)程度だった。
 ...
 2014年、571億元(9342億円)。
 2015年、912.17億元(1兆5000億円)。
 2016年、1207億元(1兆9749億円)。
 2017年、1682億元(約3兆円)と過去最高の売上となった。
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 驚愕させる天文数字のように見えるたった1日の売上額。
双十一购物狂欢节_百度百科]参考

 「ダブルイレブン」は中国最大の小売りイベントとなった。

2018年の売り上げは記録を塗り替えるか?

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 日付は11月11日に変わってたった1時間47分しか経過していない時点、すでに1000億元(1兆6362億円超)の売り上げをゲット!
 
tech.sina.com.cn

 「ダブルイレブン」で、皆さんが買ったのはただの商品ではなく、サプライズであってほしい。奪い取ったのはただの安さではなく、革新であってほしい、待っているのはただの配達物ではなく、ハッピーであってほしい。「ダブルイレブン」はただのプロモーション活動というより、むしろ文化の交流、幸せの裾分け、中国人が作り出した全世界が認められた祭日です。とアリババの創業者の馬雲(ジャック・マー)氏が述べています。

最後に

 この2009年が始まった国民的「新興行事」は本日でどれだけ驚愕させる数字を出してくれるか期待が募る一方です。