【「せわしい」と「せわしない」の違い】「せわしい」なのに「せわしない」?どっちが正しい?
流れる季節の真ん中で、ふと日の長さを感じます。
せわしく過ぎる日々の中にわたしとあなたは夢を描く。
三月の風に、思いを載せて、桜のつぼみは春へと続きます。
春じゃないのに、秋雨がしとしと降っているのに、もう少ししたらせわしない年末がやってくるのに、
沛然たる雨音と少し濡れた匂い。なぜか優雅な心持ちにすらなってくる。
ここまで書いてもうこのままゆったりとした気分で今日の一日を書き抜こうとしたが
あれ?自分の言葉遣いは間違っていない?
冒頭に書いた「3月9日」の歌詞には
「せわしく」過ぎる日々と描かれて、
自分の文章には「せわしない年末」と書いた。
確かにどこか見覚えがあるから、こうやって普通に使っちゃったと思う。
日本語勉強の道、怠けてはいけない。
よっしゃ、これを機にちゃんと調べよう~
なので、本日のブログは「せわしい」と「せわしない」についてまとめることにしました。
「せわしい」と「せわしくない」どっちが正しい?
まず、辞書を引いてみよう~
【せわしい】
( 形 ) [文] シク いそが・し
〔動詞「急ぐ」の形容詞化〕
① することが多くて暇がない。多忙である。 「大売り出しの準備で-・い」 「猫の手も借りたいほどに-・い」
② 落ち着きなくよく動き回って、あわただしい。せわしない。 「小鳥が木の間を-・くとびまわる」 〔類義の語に「せわしい」があるが、「せわしい」は用事が多かったりして気分が落ち着かない意を表す。それに対して「いそがしい」はすることが多くてひまな時間がない意を表す〕
大辞林第三版
【せわしない】
( 形 ) [文] ク せはしな・し
〔「せわしい」の語幹に形容詞をつくる接尾語「ない」の付いた形〕
① 「せわしい① 」に同じ。 「 - ・く働く」
② 「せわしい② 」に同じ。 「 - ・い子だね、少しじっとしていなさい」
[派生] -が・る ( 動ラ五[四] ) -げ ( 形動 ) -さ ( 名 )
「せわしい」も「せわしない」も大雑把で言うと、忙しいという意味です。どちらでも正しい。
ひとまず、自分の記憶が間違っていないと安心した。
「せわしい」と「せわしない」ぱっと見で、片方が肯定文で、片方が否定文だと勘違いしてしまいそう。
上の言葉の意味を打ち消す「ない」はくっ付いているからです。
「たのしい」―「たのしくない」
「さむい」―「さむくない」
これらは打ち消しの「ない」です。
「せわしい」を同じ打ち消しの「ない」に変えるなら、
「せわしくない」となるべき。
「せわしない」を「せわしい」の否定文と見なした自分の愚かさに気付き、思わず苦笑い。
では、この「せわしない」の「ない」はなんなんだろう?
「せわしない」の「ない」の意味
「せわしい」に接尾語のの「ない」は、程度がはなはだしいと言う意味を表す強調の意味です。
そのほか、調べたところで、よく使われるのは「まんべん」と「まんべんない」です。「まんべんない」しか使っていない気がしますが...
例えば
塩をおにぎりの表面にまんべんなく付着させる。
塩をおにぎりの表面にまんべんに付着させる。←多少不自然かな?
どちらも同じく塩を全面に行き渡るようにするという意味。
例えば「日の光が満遍なく当たるようにする」は「満遍に当たるようにする」とも言え,どちらも同じく日の光がよく行き渡るようにすることを言っています。
https://kotobaken.jp/mado/21/21-05/
と皆まんべんなくこの例を挙げられるが、多少違和感を覚えています。
「せわしい」も「せわしない」も形容詞、接尾語の「ない」を付け加えたことで品詞の種類は変わっていない。
「まんべん」と「まんべんない」は形容動詞から形容詞に?変わった。しかも、調べると、まんべんの例文は殆ど出ません。
それほど使われていないとのことでしょう?!
ということで、「せわしい」と「せわしない」は一番ややこしいかもしれません。
「せわしい」と「せわしない」の使い分け
●「せわしい」・・・「実際に忙しい」という意味。
●「せわしない」・・・「忙しそうに見える(実際はともかく)」という意味。
例「師走はせわしない季節だ。」→12月は心が落ち着かなくいそがしく感じる。
「師走はせわしい季節だ。」→12月は本当にバタバタとやることがいっぱいで暇な時間がない。
落ち着きのない人を「せわしない人」とも言います。「せわしい人」と言わないようです。
以上、文章を書いている途中に、急に気付いたややこしい単語の「せわしい」と「せわしない」に関して調べてみました。
来月から「せわしい」も「せわしない」も感じる師走がやってくるので、くれぐれもご自愛ください。