初夏の今は中国の卒業シーズン?【時代の流行と融合させた中国の式辞紹介】

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 We Chatをざっと目を通すと、1996年生まれの皆はもう卒業シーズンを迎えている。彼らにとって修士課程等に進学しない限り、学生時代はこれでピリオドを打たれた。

 初々しい学生時代、青春そのもの学生時代、、時間的に最も余裕のある学生時代、今になって振り返れば本当にストレスフリーの学生時代、やりたいことを思う存分にできた最も幸せの時期。懐かしい~

 今は卒業シーズン?中国はズレてるね

 と中国は日本のように満開の桜に囲まれて卒業するのではなく、それより2ヶ月後になる。

 この2,3カ月のズレが生じた仕組みはなんでしょうか。

 

中国の学校は一般的に9月1日から始まり、旧正月の一週間前から「寒假」(冬休み)が入って、約1カ月くらいにわたる休み期間が経てから新学期が始まる。一学期の冬休みの開始日と二学期の開始日はどちらも旧正月に強く関係している。

 大体3月の頭から新学期の幕を開ける。「暑假」(夏休み)は学校によって異なるが、通常6月末から7月初まで続々学生を解放させる。

 1か月半長いほうが2カ月の夏休みを満喫して9月また新学年は迎えられるというサイクルです。

 気付いた?中国には春休みはないんだ。

 日本は短い年越し休みが挟まれていて、「冬休み」と呼ばれるほどの時間の長さがある。中国では祝日と認定されるのは元旦の一日のみ。なので一つの「〇休み」が少ない。

 

 初めて交換留学生として日本にやってきたのは10月だった。途中編入してくれたことで、初めましての日本人学生にずっと「同級生」と勘違いされていた。実は日本人の「同級生」の皆は大学3年生の二学期に突入したのに対して、私はまだ新米3年生だった。一学期はズレていている。ここまでは問題がないが、翌年の4月にもともと3年生の皆は普通に4年生に進学。私と言えば、3年生の生活はただ半分しか送れなかったにも拘わらず4年生として学年アップ。

 微妙ながらも「同級生」の面してきました。

 

 前置きはちょっと長くなりましたが、今回お話したいのはこの学年のズレではなく、最近、中国のネットで見ていた「卒業式学長式辞の中で中国の流行語を取り入れながら斬新な発言」を紹介したいと思います。

1⃣ 中国の浙江工商大学の卒業式に、学長の陳寿灿氏は「仏系」という言葉を言及した。

 「仏系青年」は、2018年から中国で流行している。日本の「仏男子」(ぶっだんし)という言葉に由来していると言われる。中国では、こういった「仏系青年」と言えば、外見と性格は人並みで仕事を普通にやっているものの、必要以上に自分のエネルギーを消耗せずに仏みたいにガツガツ感のないライフスタイルを持っている若者のことをさしている。仏系青年の最大な特徴は出世や争いごとを嫌う。

 しかし、多くの若者は「仏系青年」に便乗して、「仏系青年」と自称し、自分の向上心のなさや努力をしない言い訳にしている。

 ここで、学長のダメ出しは:

  “大家熟知的‘佛系’这个词,是不是对佛有一点误解?如果‘佛系’意味着不思进取、浑浑噩噩、随遇而安的话,这可能早已偏离佛性为先觉悟而后渡人的本意。任何宗教或哲学传统,第一步当然是要教我们如何Keep Calm,排除纷扰,保持宁静,但是更重要的是教我们Carry on,直面生活,守正求新!”陈寿灿说。

 日本語訳:

  皆に知られる「仏系」という言葉は、仏様に誤解を抱えているのではないでしょうか?もし「仏系」は向上心のない、ただダラダラと日々を送るだけ、欲望無しで流されていく生活ぶりを表しているなら、仏学の本意と大いにズレているといってもいい。

  どの宗教にしても、最初は何か波乱万丈の前にも余計なことを脳裏から駆除させ、落ち着いて平常心を保つ方法を教えてくれる。しかし、最も重要な教えは、どんな困難にもめげずに前に進めること。生活に直面して、今まで積み重ねた正しい伝統や技術や文化などを守ったうえで、時代の流れに合わせて新しい何かを求めて作り出すこと。

 若者の間に歌われる流行語の本意を改めて認識させられた式辞だった。

 

2⃣ 成都師範学院の劉洪仁教授の発言:

       

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  母校はあなたたちに彼氏を与えられなくて本当に申し訳ありません。

     まぁ、文系が強い学校のあるある、男女比バランスはかなり傾いているので、母校の力不足ではないかな~

 

3⃣ 黄淮学院の学長谭贞则氏の人生哲学に関わる一言

 

 请一定要大胆扶起摔倒的老人,以暖心之举驱逐冰冷麻木。也不要轻易给迟到几分钟的外卖小哥差评,人生着实不易,宽容他人,也是在照亮自己。

  日本語訳:

 街に倒れた年配の方がいれば、勇気をもって助けてあげてください。暖かい行動で冷たく痺れた世の中の心を溶かしていこう。勝手気ままにただ何分遅刻してしまった宅配のスタッフさんに悪い評価を下すのを遠慮しましょう。人生は容易なもんじゃない。他人を寛大な心で見ていることは自分にも返ってくる。

 

 ここにキーワードが二つある。

 「倒れた年配の方」と「遅刻した宅配のスタッフさん」。これの裏に中国の社会現象が潜まれている。

 倒れた老人を助ける好意に「あたりや」に遭われるリスクがあるので、自分は冤罪される等面倒なトラブルに巻き込まれる可能性を恐れて、街端に倒れている老人を目にしても見て見ぬふりして「無関心」の若者が増えているという背景があっての発言です。

  「配達スタッフさんへの悪い評価」とは、今中国でとても盛んになっている配達事業だ。お店の配達サービスは勿論、消費者が欲しい商品を代行で購入して自宅に運んでくれる「骑手」(チイシュウ)の存在も近年目立つようになった。

    しかし、この「骑手」(配達スタッフさん)は個人で商売をやっている方が多くて、お客様から好評が集まっていればいるほど多くの利用者に選ばれる。そうじゃなければあんまり儲かる機会を貰えない。

    私も前帰省した際に、初めてこのサービスを利用させて頂きました。屋台の食べ物からおしゃれのワインやこぼれやすいスープ系まであらゆるものに対して、需要があれば利用者のいる場所までお届けしますという感じです。しかも、とても安い。前、家から3キロくらいに離れているお店でネットで注文したワインを取りに行って家に配送して貰った時に、たったの5元(およそ80円)。熱い真夏日や悪天候の日また外に出掛ける気分じゃない日に最高のサービスです。

 話が戻ると、こうやって生計を立てる為に、どんな天気でもどんな交通状況でも汗水を流して頑張っている彼らに対して、何分間遅刻したとしても、寛容な態度で理解してあげましょう。

    流行っている何かに焦点をあてる工夫を凝らして学生に一番伝えやすい形にするのはかなり評価されています。

 

  以上、ネットで見た卒業式に学長から聞かせてもらった時代の流行と融合させたユニークな式辞だった。